2021年に静岡県三島市移住を果たした馬場家の一樹さんとあさみさん。
今回の記事では、ライター・ぐっちがこのメディアの主であるお二人に、移住の経緯や移住後に感じていること、これからの「まろーど」についてざっくばらんにお話をお聞きしました!
- 移住の「ハードルの違い」|二人が決心するまでの気持ちの変化は?
- 三島移住準備〜生活、実際どうだった?|苦労もあるけど、移住したからこその前向きな変化・環境も実感
- 移住後仕事の幅は広がりつつ、同時に地域にも根を下ろした新たなチャレンジも
- まろーどでこれから発信していきたいこと
移住の「ハードルの違い」|二人が決心するまでの気持ちの変化は?
-- 現在、静岡県三島市に移住して生活しているお二人ですが、ここに至るまでの経緯を教えてください。
一樹:僕らは東京で出会って結婚したんですが、数年経ったタイミングで移住をして一軒家に住まおうと家を探していました。三島市にしたのは、元々僕が2018年頃に1年間修善寺に住んでいて、リモートワークをしていた経験がある影響が大きいですね。その1年間以前から、静岡県東部や伊豆には観光などでよく訪れていました。
元々ウェブ系の技術者という仕事柄、場所に縛られずに仕事ができる状況で。2015年頃から仕事自体はリモートワーク中心で、千葉で1年間シェアハウスを自ら運営していた以外に岩手や北海道でも数ヶ月間、他の方が運営するシェアハウスに住まわせてもらうといった生活をしていたのですが、その中でもやっぱり静岡に戻ってきたいなぁという気持ちがありました。
僕自身は元々東京で生活する気があまりなくて。だけど、当時住んでいた修善寺の家は冬がちょっと寒くて。(笑)冬場どうしようかなと思っていた時に、東京の知り合いがシェアハウスを立ち上げるので住んで欲しいと言われて。冬の間だけそこに住むことにしたんですが、そのシェアハウスに一緒に住んでいたのが、あさみさんで、そこで出会ったんですよね。
結局その後、一度修善寺の家は持ったまま東京での生活が中心となりましたが、2021年の春頃に完全に拠点を三島に移しました。
(桜が見頃の三嶋大社にて)
-- フットワーク軽く、さまざまな土地での生活の経験がある中で、静岡に戻ってこようという決め手になるようなことは、何かあったのでしょうか。
一樹: 首都圏へのアクセスの良さは大きいですね。現在の仕事は東京のお客様も多いので、稀にではありますが東京に行かなければいけないですし。
もう1つの理由は、エリア内の楽しめることが、コンパクトにまとまっていることでしょうか。伊豆って、例えば釣りとか海のアクティビティがある一方で、キャンプみたいな山のレジャーもある。水族館や動物園みたいな観光地的なスポットも多いですよね。また、三島市からであれば箱根や静岡市方面へのアクセスも良くて、1時間以内でいろんなところに遊びに行ける距離感なのは魅力的だなと思います。
(移住後の今も色々なところへ足を運んでいます)
-- ご結婚を経て、再び移住という選択をされています。一樹さんは元々東京で長く暮らすつもりがあまりなかったようですが、あさみさんにとってはどうでしたか?
あさみ:私は東京に住む前は出身の仙台に住んでいました。東京に出てきたのは、生活の環境を変えたくて。だから、東京からさらに別の場所に移住ということは当初は考えていなくて。伊豆ことも全然知らなかったですし、移住については、しばらくその選択を受け入れるための時間をもらいました。
-- あさみさんが最終的に背中を押されたきっかけ、移住を決意できたのには、どんな経緯や背景がありますか。
あさみ:私の場合は、まさにコロナ禍での変化でした。窮屈な状況で、東京で生活し続けることにも限界を感じ始めて。自分の殻を破ってみようと移住を決意するに至りました。
それ以降は、2020年の夏くらいから具体的に移住に向けての準備をはじめました。実際にこの地域に来てみたり、移住アドバイザーみたいな方と話したり、不動産を探したりとか。2021年の春に家を購入し、ようやく引っ越した感じです。
三島移住準備〜生活、実際どうだった?|苦労もあるけど、移住したからこその前向きな変化・環境も実感
-- 今回、このまろーどというブログでは移住生活に関わることを色々発信されると思いますが、お二人が実際に三島移住をする際に、苦労したことはありますか?
一樹:近いエリアに住んでいた経験があるとはいえ、親戚がいるわけでもないし、土地勘がない。だから、住む場所を決めるにも情報が全然わからないことですね。移住アドバイザーの方に助言をもらったりはするのですが、例えば災害のこととかを想定すると「この辺りは浸水しやすい」みたいな、肌感覚の情報ってすぐには得られないことを改めて実感しました。
あさみ:そうそう。ハザードマップを見る以上の情報は全然わからなかったよね。
一樹:あとは、どのエリアが栄えていて、どんな生活ができそうかという想像ができなかったなと、今になって思いますね。
あさみ:私は車の運転がすごく苦手なので、バスでどこまで行けて、何ができるかが大事だったんですが、想定よりも不便さはあって。当初はよく外に飲みにいって、代行を使うようになったんですが、だんだん、お酒を飲むこと自体やめようってなりました。(笑)
-- どのあたりに住むと、どういう生活ができるのかというのは、移住においてすごく大事な情報ですよね。お二人に場合は、偶発的に選んだ住まいに合わせてお酒飲むのをやめようかなど、肯定的に捉えて生活様式を変えたことをお聞かせいただきましたが、他にも今の住まいに合わせて変えたことってありますか?
あさみ:私は本がすごく好きなんです。なので東京にいた頃はジュンク堂などの大型書店によく通っていました。残念ながら、この地域にはさすがにそこまで大きな書店がなくて、地域の中にもそうしたニーズがあまりないことに、ちょっとショックがありました(笑)
そういう好きなこと・場所・行動などの価値観って、その地域にある代替の何かで埋めることはできても、自分自身が「こういう気持ちを持った人間なんだ」ということでつながれるチャンスは減ってしまうので……。
ただ、その代わりに私の場合は運動をはじめました。この地域には、運動好きな人が多い印象です。ちょっとマニアックな道場に通っていて、新たな興味を広げているところです。
-- 今までの自分や生活にフィットしないことがあったからこそ、選択肢Bが出てきてみたいな感じは、楽しめれば移住の醍醐味にもなり得ますよね。こうした「予想外」がある一方で「期待通り」「期待以上」といった部分もあるのではと思いますが、いかがでしょうか?
一樹:休日に観光に行きやすいとか、そういう生活がちゃんとできているのは目論見通りできていていいなと思っています。
また、普段の生活でも土地の良さを感じられることは移住前の想定よりもさらに良い点ですね。僕、絵を描くんですけど、三島市内を流れる源兵衛川とか、市街地にちょっとした風景が綺麗な場所が多いことが本当に魅力です。例えば、コワーキングスペースの三島クロケット*とかで仕事して、散歩して源兵衛川で涼んで帰ってくるとか。そういうゆったりした感じの時間の使い方ができることが、とてもいいなって思いますね。
(一樹さんが描いた源兵衛川の絵がコチラ!)
大きな公園は東京にもありますけど、どうしても人が多いじゃないですか。雰囲気も違いますしね。今は、地方にいる穏やかさを実感できています。
* ワーカーズリビング 三島クロケット
移住後仕事の幅は広がりつつ、同時に地域にも根を下ろした新たなチャレンジも
-- 一樹さんはコロナ禍以前からリモートワーク中心で過ごしていることをお聞きしましたが、今回の三島移住以降で仕事においても何か変化はありましたか。
一樹:これはコロナ禍の影響ですが、以前にも増して、お客さんに直接会わなくなりましたね。以前は、最初の顔合わせくらいは実際にお会いして、それからの業務はリモートでということが多かったのですが、今は1回も会わずに仕事して、契約終了まで1回も一度も会わないということも増えましたね。
あとは、偶然時期が重なってということもありますが、海外との取引が増えたり、ネパール人のインターン生を迎え入れたりしています。さらにそれと同時に別の地方企業との取引も増えていて。例えば、岩手の物流管理システムをネパールで作ったり……ということが今まさに起きてますね。
-- 三島移住後、むしろ仕事で関わる方の幅が広がっているのは偶然もあるかもしれませんが面白いことですね。一方で、地域に根ざすような動きもされていますよね。沼津に新たに事務所を借りられて、こちらではプログラミング教室なども行っていると聞きました。どんな風に運営しているんですか?
一樹:プログラミング教室は、沼津高専の学生さんに講師や教材づくりなどを手伝ってもらいながら運営をしています。こうした取り組みを通じて、より多くのひとにわたしたちの会社のことを知ってもらえたらいいなと思っています。
(プログラミング教室の様子)
中長期的には採用につながればという思いもありますが、そもそも、「プログラミングって何?」というひとも地域の中にはまだまだ多いですし、「開発の仕事やりますよ!」と言っても、具体的には伝わりづらいところがあります。
だから、習いにきてもらうことで、つながりが増えるんじゃないかなと思って。実際に、小学生くらいのお子さんがいる親御さんの方が、「自分も一緒に勉強したい」というケースは多くて。これをきっかけに、もっと地域とも関わっていけるんじゃないかなと手応えを感じ始めています。
-- 以前の一樹さんは、拠点を転々とされるライフスタイルを選んでいたと思うのですが、こうしてお聞きすると、今は特定の地域にも関わっていくという選択をし始めていますよね。その変化に対して今感じていることは何かありますか。
一樹:たんぽぽの綿毛が飛んで、どこかに根付いて、根を張っていくみたいな話かなと思っています。要するに住む場所を色々みてまわりたい時期が今終わって、ちょっとどこかに定着してやっていきたいなという時期なのかなぁと。
-- あさみさんは、ここまでのお話を踏まえてどんなふうに感じていますか。
あさみ:自分の場を持つと、彼は羽ばたく人なんだと思っているんです。だから順を追って、自分の自由にして良い場所を用意していった良いんだろうなって。
一方の私の役割は、会社の仕事はもちろん、プライベートのことも含めてかずきさんとのパートナーシップの中でビジョンみたいなことを決めることが多くて。そういうことに、正直であることに自分の中で許可が降りるまで、結構長く時間がかかったんですが、付き合いが深まるなかで自分の在り方を確立してきた感覚があります。無責任に「こうしてみたら?」と言うことが私の役割かな、なんて思います。
まろーどでこれから発信していきたいこと
-- 今回、このブログを立ち上げて、ご自身たちの移住経験や関連するお話を発信していこうとしていますが、なぜこうした取り組みをしようと思ったのでしょうか。
あさみ:移住体験の冊子を作ったり、二人とも絵や漫画を描いたりと、活動の幅が広がってきたので、自分たちの発信する情報をまとめたいということが入り口ですね。
(自作の三島移住の冊子。これまで出会ったひとにお渡ししたりしてきました。)
一樹:あさみさんは計画立てることが好きだけど、僕はそんなに計画性なくて。(笑)元々はこのまろーどでは、各地のコワーキングスペースの情報をまとめたりなんてことも考えましたが、まずはトライアンドエラーでやってみようかなと……。僕らの三島移住の話をエッセイ漫画にするとか、それに関連するブログ記事とかから…と思っています。
あさみ:私たち以外の移住体験談とかも発信できたらいいよね。移住は成功している人もいれば、失敗している人もいるし、一方で動きたいけどきっかけが掴めなくて「羨ましいな」という声を聞くこともあります。だからここでの発信が何かのフックになったらいなぁと。
-- 一連のお話を聞いていて、お二人はご自身で冊子を作られたりとか、絵を描かれたりとか、アウトプットすることが好きなんだなと改めて思いました。これからさらに発信する上で大事にしたいことや感じていることがあれば教えてください。
あさみ:なんか、発信することが、2人の文化なんですよね。出会った時から、お互いに同人誌をやっているスキルがあったり、共通する思考に安心感があって。また、移住してからは自分たちがイベントに出展するだけじゃなく、主催する機会も増えてきました。それをさらなる喜びにしていきたいですね。
-- ありがとうございました!引き続き、まろーどでの発信をサポートしていきます!今後の記事もお楽しみに!